障害者芸能事務所とバリアフリー美容サロンで社会を変える|年商1600万円_臼井理絵さん

障害者専門の芸能事務所とバリアフリー美容サロンを展開する臼井理絵さんにお話を伺いました。思いだけを頼りにガムシャラに進んできた彼女がUBMに出会い、大手企業とのタイアップやNHK番組へのキャスティング実績などで大きく飛躍しました。UBMでの気づきや変化、未来への展望を語っていただきました。

臼井理絵さん
高校時代にうつ病を発症し、数年間引きこもりがちだった生活を経て、プライベートホームサロンを開業。年商650万円を達成。
その後、車いすユーザーの女性との出会いをきっかけに、障害のある方々の就労選択肢を広げたいという思いから、2020年に株式会社accessibeauty(アクセシビューティー)を設立。
翌2021年には、当事者への美容啓発と、社会の障害者概念を変革する手段として、障害者専門の芸能事務所を立ち上げる。
2024年には、渋谷区千駄ヶ谷に、芸能事務所を併設したバリアフリー美容サロンを開設。自社での障害者雇用もスタートした。
「美容の力で人は変われる」「挑戦することで人生は叶えられる」という信念のもと、“障害の有無に関わらず、一人ひとりが自分らしく輝ける未来社会”を目指し、挑戦を続けている。
きっかけは車いすの女性との出会い。ボランティアから事業化へ

ーー自己紹介と現在の事業を教えてください。
「株式会社アクセシビューティー」の代表をしております、臼井理絵と申します。
弊社は障害者の就労支援を目的に、障害者専門の芸能事務所と、バリアフリーの美容サロンを運営しています。
ーーその事業を始めた理由を教えてください。
元々、美容業界で働いていたときに、車いすの女の子と出会ったことがきっかけです。
その出会いを通じて、障害があると美容を楽しんだり学んだり、仕事にすることが難しい現実があると知りました。
美容は誰でも楽しめるものだと思っていますし、美容を通じて人は変われる。自分に挑戦することで人生を変えられると信じているので、私がそのきっかけを届けたいと思ったんです。
彼女との出会いは2018年。2020年に会社を設立しました。
社会を変えたくて始めた挑戦。でも現実は甘くなかった
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公園で作業していた頃(UBM入会前)
ーー会社設立までの2年間はどのような活動をしていましたか?
起業するまでの2年間は、完全にボランティアで障害者ネイリストの育成に取り組んでいました。
美容師と違ってネイリストは国家資格ではないため、きちんと技術を教えられれば就労につながる——そう信じて進めてきたんです。
この2年で1人の子がしっかりと育ち、同時に彼女の就労先となる企業の開拓も進めていたので、「この子を無事に就労させたらゴールだ」と思っていました。
でも、現実は違いました。
その子1人のためだけには、会社は動かない。たった1人の送り出しでは、社会もビジネスも変えられないんです。
だから私は、「もっと多くの障害者ネイリストを育成し、就労に結びつけよう」と決意しました。
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オンラインで障害者専門のネイルスクールを立ち上げ、それが最初のビジネスモデルです。
ーーボランティアから、ビジネスにしてみてどうでしたか?
障害×美容という組み合わせを、ビジネスとして成立させるのは本当に難しいことに気づきました。
だから大きな企業も資金がある人もやらないし、誰もやらないから、進まない。
「だったら、私がやるしかない!」そんな使命感で会社を立ち上げました。
その後UBMに入ったんですが、ビジネスとして“非推奨のやり方”だと知ったんです。
「想い」だけじゃ続かない。ちゃんと届く形に設計しないと、社会は変えられない。現実は本当に厳しいと痛感しました。
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誰もが挑戦できる社会へ。障害者芸能事務所立ち上げの原点
ーー具体的には、どんなジレンマがありましたか?
社会に対しては、「障害のある人の働き先、受け入れ先を用意してほしい」と働きかける一方で、当事者に対しては、「自分の可能性を信じて一歩を踏み出そう」と背中を押さなければなりません。
私が両方の立場で動こうとしても、社会の側がまだ追いついていない。でも社会が変わらないと、当事者もなかなか動き出せない。
さらに、当事者が一歩踏み出せないと、また社会も変わらない。
そんな“鶏と卵”のような状況に、何度ももどかしさを感じました。
社会啓発、実績作り、資金集め、リソースの確保——すべてをゼロから立ち上げる難しさが、いちばんの壁でした。
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社会価値として20本以上のTV密着を受けた
ーー美容系のスクールから芸能事務所に展開した経緯は?
会社設立後にまず障害者専門のネイルスクールを立ち上げた時、生徒は1人も集まりませんでした。
理由を聞くと、「頑張って学んでも就職先がないなら不安」という声が多く、就労の“出口”がなければ誰も動けないという現実に直面。
同時に、美容業界に限らず、障害者の「働く選択肢」が圧倒的に少ないことに初めて気づきました。
「このままでは、どれだけ意欲がある当事者がいても社会に届かない」——そう思ったとき、社会が知らないなら、こちらから“見せていこう”と決意したんです。
障害者が美容を楽しむ姿、努力する姿を“モデル”として表に出すことで、社会に可能性を伝えようと。
それが、美容啓発の一環として「障害者モデル」という存在を生み出し、のちに芸能事務所を立ち上げるきっかけとなりました。
はじめての売上は大手企業からのCM出演依頼!
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ーー初めてゼロイチが立ったのは?
障害者専門芸能事務所の設立からわずか1か月ほどで、立て続けに大手企業からCMや広告のキャスティング依頼が舞い込んできました。
CM制作に関わるキャスティング会社の方が、インターネットで弊社のホームページを見つけて連絡をくださったんです。
ーーUBMに入る前はどのような状況でしたか?
オファーをいただいていたとは言え、完全に行き当たりばったりの状態でした。
「この事業で社会を変えたい」という強い思いと、自分の感覚だけを頼りに、ひたすら目の前の課題に追われながら努力していたんです。
当時は“一歩先”が見えないまま、何が正解かわからないままガムシャラに突き進んでいて、かなり危なっかしい状況だったと思います。
そんな中、Instagram経由でUBMの動画や情報に触れて「ここで学びたい!」と入会を決意しました。
ーーUBMに入ってみてどうでしたか?
これまで個人でいろんなコンサルを受けてきたんですが、「感情重視のマインド系」か「感情を切り捨てたロジック特化型」か、どちらかに極端に振り切ったものばかり。
正直どれもうまくいかないと感じていました。
でもUBMの講師の方は、感情とロジックのバランスが絶妙なんです。
「思い」から出発しても、そこにルールや仕組みをしっかり組み立て、再現性をもって前に進める──その姿勢に「これだ!」と思いました。
ただ優しいとか厳しいということではなく、人としての姿勢や在り方を大切にしながら、ビジネスの型を丁寧に教えてくれる場所だと感じています。
ーーUBM入会後、どのような変化がありましたか?
一番の変化は、大きく迷わず進める「基準」が自分の中にできたことです。
私の事業は社会課題や芸能など、マニュアル化が難しい分野。UBMのセオリー通り、一歩ずつ進むということが正直あまりできません。
それでも、講師の方々から基本的なビジネスの考え方や立ち振る舞いを繰り返し学ぶ中で、「どう進めばいいか」の型が自然と身につきました。
だから今は、迷ったときも大きく踏み外さず、自分で判断しながら進められています。
年商50万円から1600万円へ!事業展開へ向けた組織づくりも
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ーー売上の数字的な変化は?
入会当初(会社の2期の頃)の年商は50万円くらいでしたが、5期となる現在は1600万円を超えています。
ーーいま課題に感じていることは?
「人に頼ること」ですね。
美容業界にいた頃も個人事業主だったし、ボランティア時代も会社を設立してからも、ほとんど一人でやってきていたからです。
でも昨年に事業所も立ち上げたので、これからはアルバイトや社員も増やしていきたい。
今の事業は明らかに“人が必要なフェーズ”に入っているので、採用や組織づくりにも本腰を入れて、会社を次のステージへ育てていきたいと考えています。
ーーUBMをどのように活用していますか?
最近はずっと、事業拡大・店舗展開の顧問講師である山本さんにご相談させていただいています。
現在、障害者専門の芸能事務所とバリアフリーの美容サロンを同時に運営しており、有形・無形の両方の事業を並行して進めている状態です。また、他にも複数の事業プロジェクトが並走しています。
そのバランスや戦略の難しさもあり、現場経験が豊富な山本さんにアドバイスをいただきながら進めています。
ーーUBMのおすすめの活用法はありますか?
日帰り合宿とZoomの両方に参加するのがおすすめです。
日帰り合宿は講師の方に直接質問や相談ができるし、自分のブレを整えて、アクションプランを見直すきっかけになります。
Zoom勉強会や相談会もとても充実していて、どの回も貴重な学びと気づきの場。今では「聞きたいことがあるから参加する」のではなく、「入れる時はとにかく入る」スタンスに変わりました。
そして何より、UBMの会員さんたちは皆それぞれの課題に真剣に向き合い、「自分だけが悩んでるわけじゃない」と感じられることが、心の支えにもなっています。
友達ではないけれど、同じ方向を向く“同志”のような存在がいる——それがUBMの魅力です。
大河ドラマ初の障害者キャストを輩出!諦めない未来が実現した

ーー活動に取り組む中で嬉しかったエピソードはありますか?
障害があることで、自分の好きなことや目指したい職業に手を伸ばせなかった方が多く、「モデルや俳優、ネイリストとして働ける選択肢があることが本当に嬉しい」とよく言っていただきます。
自社では「配慮はするけど遠慮はしない」をポリシーに、フラットに接しているのですが「ここにいると障害者であることを忘れられる」と言われた時は本当に嬉しかったです。
また、NHK大河ドラマに初の障害者キャスティングも実現!今年はEテレの工作番組にレギュラー出演が決まったりと、子役の活躍も動いてきました。
保護者の方から「諦めなくていい未来に出会えた」と言っていただいた時は、やってきて本当によかったと心から思いました。
ーー今後のビジョンを教えてください。
組織として人を生かし、自分自身も経営者としての役割をしっかり全うできる状態をつくっていきたいです。
事務所所属者や障害者雇用含む社員を含め、関わるすべての人が「やりがい」を仕事に反映させ、しっかり稼げる環境をつくること。
そして自分の事業が広がることで、社会全体がもっとアクセシブルになることを目指しています。まずは自社から、その仕組みを拡大していきたいです。
福祉感を出し過ぎず「ちょっと憧れる」世界観を作る
ーーマーケティングやブランディングで意識していることは?
一般的に、障害者に纏わる団体や取り組みは「できることが少ない」「おしゃれに興味がない」と見られがちで、どうしても“福祉感”が出てしまいます。
でも私たちのこだわりは、「福祉ではない、憧れの世界観」、美容業界ならではの視点でブランディングを推進しています。
障害者にも寄りすぎず、社会にも寄りすぎない「中間の立ち位置」で発信することで、「あれ?この子、車いすだったの?」「義足なのにこんなに表現力あるんだ」と意外性が注目されやすくなります。
実際、モデル事業に転換した初年度には、プロのクリエイターたちと共に撮影した写真を発信するウェブマガジンを展開したことがきっかけで、150人の方がモデルオーディションに応募!
さらに、9社もの大手企業から協賛をいただき、社会意義の高さに気付かされ、事務所設立につながりました。
ーーもしUBMに入ってなかったら、今頃どうなっていたと思いますか?
きっと今も、思いだけを頼りにブレブレだったと思います。
事業がうまくいっていても「この道で合ってるのかな」と不安になり、目の前のことに振り回されていたはずです。
UBMでは、講師の方にアクションプランを見てもらいながら優先順位を整理できます。おかげさまで、「今やるべきこと」が明確になり、軸を持って進めるようになりました。
ーー入会を迷われている方にメッセージをお願いします。
今は学びの選択肢が多くて迷うと思いますが、UBMは月2万円で講義もクラスもプロのサポートもすべて使える、かなりお得な場所です。
まずは1か月、思いきり使い倒してみるのがおすすめです。きっと「他はもういらない」と思えるはずです。
講師からのメッセージ
山本講師から臼井理絵さんへのメッセージ動画です。「障害者が当たり前に輝ける社会を作りたい!」臼井さんの夢が実現する日は、きっとそこまで来ています。(1分11秒)